建設現場の外国人

仕事中や通勤中にケガや病気をしてしまったとき、労働者を守るために設けられているのが「労災保険制度(労働者災害補償保険)」です。

この記事では、建設業や一人親方の方にもわかりやすいように、労災保険の仕組み・給付内容・申請手続き・注意点を徹底解説します。


🔹労災保険制度とは?

労災保険制度は、労働者が 業務中または通勤中に発生したケガ・病気・障害・死亡 に対して、本人や遺族に必要な給付を行う国の公的保険制度です。

正式名称は「労働者災害補償保険法」に基づく制度で、保険料はすべて事業主(会社)が負担

労働者自身が加入手続きを行う必要はなく、雇用された時点で自動的に対象になります。

また、国籍や在留資格に関係なく、日本で働くすべての労働者に適用されます。


石綿(アスベスト)による健康被害も補償対象

建設現場などでかつて広く使用されていた石綿(アスベスト)による健康被害も、労災保険の補償対象です。

過去にアスベストを扱った作業に従事しており、「石綿肺」「肺がん」「中皮腫」などを発症した場合、労働基準監督署長の認定を受けることで給付が受けられます。


労災保険で受けられる主な給付内容

労災保険には、ケガや病気の程度・状況に応じて複数の給付制度があります。

建設業で多い「墜落」「転落」「重機接触」などのケースも幅広くカバーされます。


(1)療養(補償)給付

業務中・通勤中のケガや病気の治療費を全額補償します。

労災指定医療機関であれば、窓口負担は一切不要です。

なお、提出書類はコチラの厚生労働省のサイトからダウンロードできます。

提出書類:

  • 業務災害 → 様式第5号
  • 通勤災害 → 様式第16号の3

(2)休業(補償)給付

ケガや病気で休業する場合、4日目から日額の60%が支給されます。

さらに特別支給金(給付基礎日額の20%)も加わるため、実質約80%の補償となります。


(3)傷病(補償)年金

療養開始から1年6か月を経過しても治らない場合、症状の重さに応じて1級~3級の年金が支給されます。


(4)障害(補償)給付

治療後に障害が残った場合、その等級(1級~14級)に応じて年金または一時金が支給されます。

(例)手指の欠損・視力低下・歩行障害なども対象。


(5)介護(補償)給付

重い後遺障害で介護が必要な場合、常時介護・随時介護に応じて介護費用が支給されます。


(6)遺族(補償)給付・葬祭料

業務や通勤が原因で労働者が亡くなった場合、ご遺族に年金または一時金が支給されます。

また、葬儀費用として葬祭料(または葬祭給付)も支給されます。


労災保険給付の申請方法と流れ

① 労働基準監督署への申請

本人または遺族が、所定の保険給付請求書(厚労省サイトよりダウンロード)を作成して、事業場所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。


② 事業主の証明

請求書には、勤務先(事業主)による証明欄があります。

勤務実態や事故状況を確認するため、必ず記入してもらう必要があります。


③ 審査と支給

提出後、労働基準監督署による調査・審査が行われ、労災認定後に給付が支給されます。

審査期間は通常1〜3か月程度です。


④ 注意点

  • 業務災害と通勤災害では書類が異なります。
  • 勤務状況・事故状況・診断書の添付が必要です。
  • 書類の不備・証明漏れで支給が遅れるケースもあります。

建設業の労災発生率と対策

建設業は全産業の中でも労災発生率が最も高い業種のひとつです。

特に多いのは、以下の事故です↓

  • 墜落・転落
  • はさまれ・巻き込まれ
  • 重機接触・飛来落下

また、個人事業主(一人親方)は原則として労災保険の対象外のため、「特別加入制度」を利用して自ら補償を確保する必要があります。→建設業の一人親方必見!労災保険の特別加入とは?


まとめ|労災保険を正しく理解して安心を守る

労災保険は、建設業で働く方々の命と生活を守る重要な制度です。

仕組みを正しく理解しておけば、もしものときも落ち着いて対応できます。

また、一人親方の方も「特別加入制度」を利用すれば、雇用労働者と同じ補償を受けることが可能です。


一人親方部会グループでは

建設業に従事する一人親方・個人事業主の方に向けて、

  • 労災保険の特別加入手続き
  • 給付申請サポート
  • 健康診断・労災指定病院案内

などをトータルでサポートしています。


「安心して働ける現場づくり」は、労災保険を正しく理解することから始まります。

今すぐ、自分と家族の安全を守る準備をしましょう。


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